【専任技術者とは】建設業許可の技術要件と2つの区分(一般・特定)を行政書士が徹底解説

建設業許可を取得するには、「適切な経営業務の管理体制(常勤役員等)」の要件に加え、各営業所に「営業所技術者等(旧:専任技術者)」を配置することが必要です。

営業所技術者等とは、許可を受ける建設業種について十分な知識や経験を有する技術者のことで、建設業許可を取得・維持するための重要な要件の一つです。

令和5年の建設業法改正により正式名称は**「営業所技術者等」**となりましたが、現在でも「専任技術者(専技)」という名称が広く使われているため、本記事では両方の名称を使用して解説します。

この記事では、

  • 営業所技術者等とは何か
  • 一般建設業・特定建設業それぞれの要件
  • 実務経験で証明する方法
  • よくある勘違い
  • 退職した場合の注意点

まで、建設業許可専門の行政書士がわかりやすく解説します。


営業所技術者等(旧:専任技術者)とは?

営業所技術者等とは、建設業許可を受ける営業所ごとに配置しなければならない技術者です。

建設業の請負契約を適切に締結・履行するため、営業所には建設工事に関する専門知識を持つ技術者を常勤で配置する必要があります。

ポイント

  • 営業所ごとに1名以上必要
  • 許可を受ける業種ごとに要件を満たす必要がある
  • 常勤で勤務している必要がある
  • 他の営業所との兼任はできない

例えば、本店が石川県金沢市、支店が小松市にある場合は、それぞれの営業所に営業所技術者等を配置しなければなりません。

1人の技術者が複数の営業所を兼任することは認められていません。

なお、複数の都道府県に営業所を設置する場合は、知事許可ではなく国土交通大臣許可となります。


「専任」とはどういう意味?

営業所技術者等は「専任」であることが求められます。

ここでいう専任とは、

その営業所に常勤し、専らその営業所の建設業務に従事している状態

をいいます。

具体的には次のような点が確認されます。

  • 継続した雇用関係があること
  • 通常の勤務時間中は営業所に勤務していること
  • 他社で常勤役員等や営業所技術者等になっていないこと
  • 名義貸しではないこと

現場の主任技術者・監理技術者との違い

営業所技術者等は、工事現場に配置される主任技術者や監理技術者とは異なる制度です。

ただし、令和5年の建設業法改正により、一定の条件を満たす場合には営業所技術者等と主任技術者等を兼任できるケースがあります。

兼任には、

  • 営業所と現場との距離
  • ICT等による連絡体制
  • 工事内容

などの条件があるため、事前に許可行政庁へ確認することをおすすめします。


営業所技術者等が退職したらどうなる?

営業所技術者等が退職や死亡などにより不在となった場合は、建設業許可の要件を満たさなくなります。

すぐに許可が取り消されるわけではありませんが、後任者を配置できない状態が続くと、改善指導や許可取消しの対象となる可能性があります。

そのため、技術者が退職する予定がある場合は、できるだけ早く後任者を確保して変更届を提出しましょう。


一般建設業の営業所技術者等になれる人

一般建設業では、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

① 国家資格を持っている

もっとも確実な方法です。

例えば、

  • 1級施工管理技士
  • 2級施工管理技士
  • 技能士
  • 建築士

など、業種に対応した国家資格を持っていれば営業所技術者等になることができます。


② 指定学科を卒業し、実務経験がある

建築・土木・電気など指定学科を卒業している場合は、必要な実務経験年数が短縮されます。

学歴必要な実務経験
大学・高専・高度専門士3年以上
高校・指定専門学校5年以上

③ 10年以上の実務経験がある

資格や指定学科を卒業していない場合でも、

許可を受ける業種について10年以上の実務経験

があれば営業所技術者等になることができます。

実務経験には、

  • 現場施工
  • 現場管理
  • 工事監督

などが含まれます。

一方、

  • 単なる事務
  • 営業のみ
  • 経理のみ

などは原則として実務経験に含まれません。


④ 技士補制度を利用する方法

令和以降の制度改正により、

  • 1級施工管理技士第一次検定合格
  • 2級施工管理技士第一次検定合格 ←おすすめ!!

を活用できるケースもあります。

Information

実務経験だけで10年待つより早く建設業許可を取得できる可能性があるため、現在最もおすすめの方法の一つです。


特定建設業の営業所技術者等

特定建設業では、一般建設業よりも厳しい要件が求められます。

次のいずれかに該当する必要があります。

  • 1級施工管理技士などの国家資格
  • 一般建設業の要件を満たした上で、一定規模以上の元請工事について2年以上の指導監督的実務経験
  • 国土交通大臣特別認定者

なお、指導監督的実務経験では、

  • 元請工事
  • 請負代金5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)

などの条件があります。


指定建設業7業種はさらに注意

次の7業種は指定建設業に指定されています。

  • 土木工事業
  • 建築工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 舗装工事業
  • 造園工事業

これらの業種で特定建設業の許可を取得する場合は、指導監督的実務経験だけでは要件を満たせません。

原則として、1級施工管理技士などの国家資格者が必要になります。


よくある質問

Q. 1人で複数の営業所の「専任技術者」を兼任することはできますか?

A. 残念ながら、1人の人が複数の営業所で兼任することは原則として認められません。

専任技術者は、その営業所に「常勤」していることが絶対条件だからです。例えば、福岡本社と熊本営業所がある場合、それぞれのオフィスに別々の技術者を1名ずつ配置する必要があります。

💡 社長様へ: 「うちには資格者が自分しかいない…」という場合でも、別の業種の実務経験を持つ社員様を技術者に育てたり、新しく資格者を採用したりすることでクリアできる場合があります。諦めずにまずは体制をご相談ください。


Q. アルバイトのスタッフでも営業所技術者等になれますか?

A. 原則として、アルバイトやパート、臨時のスタッフの方が専任技術者になることは認められません。

専任技術者には、「会社との継続的な雇用関係」と、通常の勤務時間はしっかりそのオフィスで働くという「高い常勤性」が求められるためです。基本的には、正社員(健康保険や厚生年金に加入している状態)であることが大前提となります。

💡 チェックポイント: 「名義だけ借りる」といった行為は大変厳しいペナルティ(許可取消しなど)の対象になります。実態としてしっかり自社でフルタイム勤務してもらえる体制を整えましょう。


Q. 資格を持っていません。過去の「実務経験」だけで証明することは可能ですか?

A. はい、もちろん可能です!学歴や国家資格がなくても、10年以上の実務経験があれば専任技術者になれます。

ただし、役所に認めてもらうためには、口頭だけでなく「本当に10年間、その工事に携わっていたか」を客観的な書類で完璧に証明する必要があります。

具体的には、過去の工事請負契約書や注文書、当時の確定申告書、年金記録(在籍証明のため)など、かなり膨大な資料を集めるケースがほとんどです。各自治体によって証明方法は異なります。

💡 ここが一番の難所です: 「10年前の書類なんて残っていない…」と頭を抱えられる社長様は非常に多いです。ですが、書類の組み合わせや、別の公的資料の活用によって証明できるケースもあります。「無理かもしれない」と思う前に、ぜひ一度お手元の書類を一緒に確認させてください。


まとめ

営業所技術者等(旧:専任技術者)は、建設業許可の取得・維持に欠かせない重要な要件です。

特に実務経験で証明する場合は、経験年数だけでなく、その内容や常勤性を客観的な資料で証明しなければならず、申請の中でも特に難しいポイントとなります。

また、営業所技術者等が退職した場合や、資格者の配置ができなくなった場合には、許可要件を満たさなくなるおそれがあるため、日頃から人員体制を整えておくことも大切です。

「自社の資格で営業所技術者等になれるのか知りたい」「実務経験で証明できるかわからない」「どの資料を準備すればよいかわからない」という方は、建設業許可専門の行政書士へ早めに相談することをおすすめします。

いかがでしたでしょうか?要件の確認や面倒な書類集めは、当事務所が丸投げでサポートいたします。地域の窓口によって細かいローカルルールが異なりますので、詳しくは各県専属の案内ページをご覧ください。

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この記事の監修者


代表行政書士: 土井 基生(どい もとき/Motoki Doi)

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